・調剤部門
 ・製剤部門
 ・薬品試験部門
 ・感染制御部門
 ・薬剤管理指導部門
 ・外来化学療法部門
 ・薬品管理部門
 ・医薬品情報管理部門
 ・治験管理部門
 ・教育研修部門
 薬品試験部門

薬品試験部門の主な仕事は、
(1) 治療的薬物血中濃度モニタリング(TDM: Therapeutic Drug Monitoring)
(2) 中毒物質の定性・定量法の開発
 従来TDMと言えば、薬剤による副作用を防止するために血中濃度を測定するといったイメージが強かったと思われます。しかしながら、近年では、副作用を防ぐためだけでなく、最大の効果を発揮するため、すなわち治療効果を得るために血中濃度を測定し、最適な投与設計を行うという考え方に変わってきました。岐阜大学病院では、血中濃度の測定は検査部で行い、TDM担当薬剤師は血中濃度に基づいた投与設計にその労力を注いでいます。特に、抗MRSA薬の投与においては、速やかに目標とする血中濃度に到達させるため、初期投与設計を積極的に推進し、有効で安全な薬物療法を支援しています。また、電子カルテと連動したTDM報告システムを構築し、電子カルテ上で医師が解析結果を速やかに閲覧できる体制を整えています。なお、我々が抗MRSA薬の初期投与設計を推進した成果を報告した論文は、平成24年に発表された抗菌薬TDMガイドラインに引用されています。
【電子カルテと連動したTDM報告システム】
 岐阜大学病院では、医師が電子カルテにTDMの依頼をオーダ入力し、検査部にて測定された血中濃度を基にしてTDM担当薬剤師が適切な投与量や用法を設計します。解析結果は電子カルテに記録され、医師が解析結果を速やかに閲覧できるシステムとなっています。また、解析結果は医師のみならず各病棟担当薬剤師にも報告し、情報を共有することで円滑に薬剤管理指導業務を行えるよう配慮しています。
 薬剤師が、TDMを通じて薬物の投与設計に関与することによって、高い臨床効果が得られることから、医師から多大なる信頼を得ています。薬剤師が提案した投与量や用法がそのまま処方箋に反映されるため、責任は重大ではありますが、大変やりがいのある業務のひとつです。

薬剤師による処方オーダ、検査オーダ権限
 TDM対象薬剤の投与設計への積極的な関与が認められ、平成24年4月よりTDM対象薬剤の処方オーダ権、検査オーダ権が与えられました。本権限は、感染制御専門薬剤師を筆頭とするTDMに精通した5名の薬剤師に与えられており、これまで以上にTDM対象薬剤の投与設計への積極的な関与が求められます。
抗MRSA薬を中心とした薬物投与設計
 抗菌薬では近年、pharmacokinetics/pharmaco-dynamics (PK/PD)の発展に伴い、副作用を防ぐためにTDMを行うのではなく、最大の臨床効果を得るためにTDMを行うという考え方に変わってきました。当院ではTDMを積極的に推進しており、抗MRSA薬のTDM実施率はほぼ100%を維持しているだけでなく、得られた血中濃度に基づいてTDM担当薬剤師が推奨した投与量のとおりにこれからの投与量が変更されます。さらに、これから抗MRSA薬の投与を開始するという時点で必ず医師から連絡があり、TDM担当薬剤師が投与量設計、次回TDM採血の日程を決定します(初期投与設計)。
 バンコマイシンの初期投与設計に関与した症例では、初回TDM時の用量変更率は33%であるのに対し、初期投与設計を行わなかった症例の用量変更率は78%と高く、最初から薬剤師が関与することにより、適切な投与量を推奨していることが判明しました。さらに初期投与設計に関与した症例では、より早期にバンコマイシンの効果が得られていることが明らかとなりました。
 テイコプラニンの初期投与設計に関与した症例では、初回TDM時の有効域到達率は88%であるのに対し、初期投与設計を行わなかった症例では33%と低く、最初から薬剤師が関与することにより、より早期に有効濃度に到達することが判明しました。
【中毒物質の定性・定量法の開発】
 薬品試験室は、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析装置(LC-MS/MS)をはじめとする種々の分析機器を有し、臨床の求めに応じた迅速な薬毒物分析を行う体制を備えています。特に、中毒起因物質を迅速に分析することは医師の治療方針決定に必須であり、患者の救命に役立ちます。私たちは、LC-MS/MSを駆使したベンゾジアゼピン系薬物の迅速同時定量系の確立などの臨床ニーズに直結した研究を行っています。
【LC-MS/MSを用いたベンゾジアゼピン(BZD)系薬物の迅速同時定量系の確立】
 BZD系薬物は、催眠、鎮静薬、抗不安薬および抗てんかん薬として広く用いられており、治療的薬物TDMの対象薬剤となっています。BZD系薬物は、ときに自殺企図の目的あるいは誤った知識により過量服用されることがあるため、急性中毒患者での薬物同定が求められる場合があります。BZD系薬物の濃度測定には抗体を利用した簡便な血液濃度測定キットがほとんどないため、液体クロマトグラフ(LC)が汎用されています。検出にはUV検出器がよく使われますが、この測定系では感度が悪く、血中にある低濃度のBZD系薬物の検出には不向きです。さらに、併用薬の影響により定量性が損なわれる場合もあります。一方、質量分析計(MS)を用いた定量法は高感度かつ選択性が高いため、血中BZD系薬物の定量には有用であることが報告されています。そこで、代謝物等の高極性化合物の保持を改善した高極性対応ODSカラムを用い、代謝物等の分離分析も可能な血中BZD系薬物のLC-MS/MS定量系の開発を試み、臨床応用が可能か検討しました。本測定系は、臨床検体におけるBZD系薬物の測定に十分な感度を有しており、MSの高い選択性を利用することにより、BZD系薬物およびその代謝物の同時定量法が可能となりました。